「い、言えるわけ……ないです」
大人びた彼を前に、私は一言しか返せず。
真っ赤な顔になった私を見て、凌生くんは満足そうに笑った。
「じゃ、はいコレ」
凌生くんが私にタオルを投げる。
まだ使っていない、新しいタオルだ。
「これは?」
「お風呂に入って来いよ。そのあと出かけるぞ」
「えと、どこに?」
「服。そのままで良いって言うなら構わないけど?」
凌生くんの視線を辿ると、私の汚れた制服にいきついた。
うわ、雨の中走ったのもあって泥だらけだ。
確かに、これは着替えたいかも……。
「ふ、服を買いに行きたいです」
「ん。じゃあ待ってるから風呂に行って来い」
「――はいっ」
「!」
待ってる――その言葉が妙に嬉しくて、ルンルンで返事をする。
バスルームに行く前、凌生くんの驚いた顔が見えた気がしたけど……。いや、気のせいか。



