「シャツが濡れますよ……?」
「誰かさんには刺激が強すぎるみたいだから、急いで着たんだよ。あ~寒いなー」
「うぅ……っ」
そんな風に言われたら放っておけないよ……。
気付けば私はベッドから降りて、凌生くんの肩にあったタオルを奪っていた。
「なにやってんの未夢」
「わ、私が拭きますっ。凌生くんに風邪引かれても困りますから」
「あぁ自分に移るから?」
「何言ってるんですか」
この部屋から出られない私は、凌生くんが風邪を引いても何も出来ない。
ただ見てるだけしか――
「苦しんでいる凌生くんを助けてあげられないのが、嫌なんです」
「……ふーん」
間延びした声を出した凌生くんは、大人しく私に体を拭かれている。
かと思えば「もっと」と。
膝を折って、私に頭を突き出した。



