キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


次に起きた時、すでに外は明るかった。

時計を探して時刻を確認。

現在、午後二時。変な時間に寝ちゃったなぁ。


「凌生くんは……いない」


もう起きちゃったんだ。

どこに行ったんだろう。


「……ふぅ」


また一人になっちゃったっていう寂しさからか。

それとも。

凌生くんがいなくて良かったっていう安心からか。


そのどちらとも言えない吐息がもれた、

その時だった。


「俺がいなくて安心したって顔してるな」

「!」


ガチャリと、奥のドアから出てきたのは凌生くん。

なぜか上半身が裸で、首にタオルをかけている。


「わ、わわ……、あのっ」

「なに真っ赤になってんの」

「凌生くんが、は、裸だから……っ」


「そんなことで」と、呆れた声の凌生くん。

今の彼を見るのは心臓に悪くて、急いで両手で顔を覆う。


「お前には兄貴がいるだろ?」

「お兄さまは裸でウロウロしません……っ」

「へえ、さすが総季のお坊ちゃま。マナーが行き届いてるな」


嫌味たっぷりで言う凌生くんは、白いシャツをバサリと羽織る。

まだまだ髪や背中が濡れてるのに……。