キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「まさか眠いのですか?」

「今日は一日地下にいたから、疲れたんだよ……――スー」

「え、」


本当に、寝た?

おそるおそる顔を上げると、端正な凌生くんの顔が、穏やかな眠り顔へと変わっていた。


「そうとう疲れていたんだね……」


体はひっつけたまま、凌生くんの隣で横になったまま。

ここぞとばかりに、凌生くんの顔をじっと見る。

……まつ毛長いなぁ。

鼻も高くて、唇も薄い……まるで王子様だ。


「凌生くんは変わらないね。今も昔も、私にとっての王子様」


でも……これから私は、この部屋で凌生くんの言いなりになる。

部屋を掃除しろと言われたら掃除するし、脱げと言われたら……脱がないといけない。


「お屋敷から逃げた罰だから……仕方ないよね」


仕方ない。

お屋敷に戻るよりはマシ。


そう頭では分かっているだけど、そういう行為を想像して怖くなる。

凌生くんは何とも思わないかな。

相手が私だよ? 嫌になったりしないのかな。