キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「それだけは、い、嫌です……っ」

「怯えた顔もいいが、未夢が言ったんだぞ。〝この部屋で私に出来ることをします〟ってな」


確かに言ったけど……っ。


「これは範囲外といいますか……」

「じゃあ少しずつ慣れていけ。ようは未夢にとって、そういう行為が当たり前になれば問題ないってわけだ」

「それは、強引すぎます……っ」


すると凌生くんは「ハッ」とあざ笑った。


「強引に俺たちを働かしている総季家が、それを言うなっての」

「!」


その話題を出されると……何も言い返せない。

私の家族が皆に迷惑をかけているのは本当だから。


「……わ、かりました」

「ん。分かればよろしい」


凌生くんは私の頭をひと撫でした後、私と同じようにベッドに横になる。

「おいで」と言われたから、少しだけ近寄った。


「……おい。なんだよ、この距離感」

「え」


この距離感――というのは、私と凌生くんの間にある隙間。

大の大人がゆうに横に慣れる幅をとって、私は凌生くんの隣に寝転んでいる。