キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「もうお兄さまなんて呼ぶな。お兄ちゃんと言ってくれた方が俺は嬉しいんだ」

「わ、分かりました」

「敬語もな」

「……うん」


ふふ、と笑いあった私たち。

確かに血は繋がっていないけど……。

でも共に苦難を乗り越え、気持ちを分かち合ってからは、どの兄妹よりも絆が深くなった気がする。


「ねぇ、お兄ちゃん」

「ん?」

「やっぱりお兄ちゃんは、強くて立派だね」

「!」



――こんなに強くて立派なお兄ちゃんが一緒にいてくれてると思うと、それだけで未夢は幸せになれるの



「なぁ、未夢」


お兄ちゃんの目が、まるで鏡のように反射して光った。

それはまるで、涙で潤んでるような輝き。


「お前、いま幸せか?」

「うん、すっごく幸せだよっ」

「――そうか」


その時、お兄ちゃんが私に背を向ける。

そして「約束していた携帯を買いに行くぞ」と、先に歩き始めた。