キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「お、お待たせしました! お兄さまっ」

「……」
「……」
「……」
「……」


「あれ?」


どうしよう、皆が固まっちゃった。

雷斗くんが「どうせなら可愛くしてあげるー」ってメイクやら髪やらをしてくれたのに……。


「本体(私)が悪いせいで、雷斗くんの努力が水の泡に……っ」


だけど嘆く私の目の前に、ぬっと鏡が現れる。

そこに写るのは、いつもよりもキラキラした私。


「なーに言ってるの。未夢ちゃんが可愛すぎるから、みんな言葉を失ってるんだよ」

「雷斗くん、でも……」

「まぁ、こうすれば嫌でも動くんじゃない?」


と、雷斗くんは私の顎をクイと持ち上げる。

そして顔を斜めにして、どんどん近づいてきて……


「冗談なら殴る。冗談じゃなくても殴る」

「凌生、目がマジなの怖いからやめて! あと覇鐘は戦闘体勢に入るの禁止。他の二人も!」


見ると梗一くんはナイフを取り出そうとしてるのか、和服の袖に手を突っ込んでいる。怜くんも手刀の構えに入っていた。