「……それにしても未夢、遅くないか?」
すると怜くんはクッと笑って、凌生くんを見た。
「どの服を着ようか悩んでるんだよ。誰かさんが買ってくれた服はどれも可愛くて、まるで自分がお姫様になったみたいだって本人が言ってたし」
「未夢が……」
そこまで気に入ってくれてるとは思わなかったのか、凌生くんの顔が赤くなる。
すぐに平常心に戻したみたいだけど、お兄さまだけは見逃さなかった。
「〝まだ〟俺の妹だからな?」
「隙あらば横恋慕しようとしてるくせに何が妹だ、うそくさ」
お兄さまの秘めた想いに、梗一くんが頷いた。
「私も似たような経験ありますよ」と。
「あれは家庭教師が来た日でした。当時私は、」
「そういや未夢から聞いたけど、いつかアンタ家庭教師を名乗り出たそうだな。未夢と部屋に二人きりになりたかったのか? ヘンタイめ」
「家庭教師なんて呼んでみろ。可愛さにあてられて、未夢が個室で何されるか分からないだろう」
「そういう発想がヘンタイだって言ってんだよ」
「ちょっと、私の話を聞いてますか?」
「あー、うるさ」
……と。
ワイワイ賑わって収集がつかなくなった時。
支度を終えた私が、駆け足で皆の元へ向かった。



