キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「安心しろ、殴られるなんてヘマしたのは今日だけだ。まだ毒が残っていたから、反応が鈍くなって食らっただけだし」

「凌生くん……」


笑う凌生くんの頬に貼られた湿布。

そこに手を伸ばすと「でも思うんだ」と。

私の手の上から、凌生くんは自分の手を重ねた。


「未夢に会うなと俺たちに言ったのは〝総季の親父から何らかの圧力がかかったのかもしれない〟って。

さっきの覇鐘を見てると……なんとなく未夢も分かるだろ? 兄貴が自分勝手に〝会うな〟って言うわけないって」

「……はい」

「今まで覇鐘が俺にヒドイことをしなかったのが証拠だ。今日だって、未夢がのぞき見してると気づいてのパフォーマンスだったろうし」


まぁ、とにかく――と凌生くん。


「色んな気持ちが詰まった拳だったんだろうな」

「凌生くん……」

「でも殴られたのは気に入らないから、帰って来たら俺も一発おみまいしてやる。だから未夢、〝覇鐘が早く帰ってきますように〟って、俺の分も祈っておいて?」

「はいっ」


凌生くんの両頬に手を添える。

そして――そっと唇にキスをした。