キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「長い間お兄さまには嫌われていると思っていたし、顔を見るのさえ怖いと思うこともありました。

でも――」


私とお兄さまは家族だから。

離れてしまった心は時間をかけて元通りになるって、そう思うの。


「……でもオニーサンは未夢のことを妹だとは思ってないんだよなぁ」

「凌生くん、何か言いました?」

「いや。強力なライバルが増えたなって思っただけ」

「?」


なんの話しだろう?

不思議に思っていると、凌生くんが「ん」と私に手を伸ばす。

ドキドキしながら、大きな手をゆっくりと握り返した。

すると手を引っ張られ、大きな体に抱きしめられた。


ギュッ


「え、あのっ」

「〝また〟この手を離さないといけないのかって。未夢のいないB地区に帰った時に思った」

「また?」

「小さい頃、未夢の前から姿を消したことあったろ。俺ら四人、全員がさ」