「父から族を託されたのは、そんな時だった。〝この暴走族を使ってB地区を壊滅させるように〟と命じられた。
父にとってB地区は目の上のたんこぶでな。財政が苦しい中でも、B地区を消す事だけは最優先事項だった」
「なるほど。それで送り込まれてきたのがイレイズってわけですか」
頷くお兄さまに、梗一くんがため息をつく。
「変だと思ったんですよね。定期的に十人ほどイレイズが送られてきたのに、未夢さんがB地区に来た日から、送られてくるイレイズの数は一人のみ。
もしやあなた、未夢さんが傷ついてはいけないと思って、かなり手加減をしましたね?」
するとお兄さまは「当たり前だろう」と眉間に皺を寄せた。
「大事な妹がいるB地区に刺客をウヨウヨ送れるか。万が一でも未夢が傷ついたらどうする」
「お、お兄さま……」
無表情だけど真剣さが伝わってくる。
その姿を見ると、本当に私のことを心配してくれてたんだなって……胸が温かくなった。



