「未夢、俺がいる。だから心配するな」
「凌生くん……ありがとうございます」
すると私たちを見たお兄さまが「警察が来るまでだからな」と重い口を開く。
今度こそ誰かが通報してくれたらしい。
遠くでサイレンの音が聞こえていた。
「再婚して、未夢が総季家に来たばかりの頃。
父が未夢を突き飛ばした、特に理由もなくだ。
その時に未夢は家具にぶつかり、頭から血を流した。だけど……父は何も言わなかった。何の手当もしなかった。
ただワンワン泣く未夢を置いて、どこかへ行ってしまったんだ」
「……――っ」
いつか凌生くんが尋ねてくれた、私の頭の傷。
――なぁ未夢の後頭部、なんか傷あるけど生まれつき?
――私の不注意で家具に頭をぶつけた時の傷です
お母さまから「慣れない家具にぶつかったから」と教えられていたけど……。
違ったんだ。
この傷は、お父さまから受けたものだったんだ。



