キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


ゴホンッ


「おい。仮にも兄貴がいる前で、妹にキスするとは何事だ」

「そこまで言うなら、アンタの化けの皮をはいでもらおうか。もちろん一から百まで全て説明してくれるよな?」

「……」


お兄さまは黙ってしまった。

だけど……私も知りたい。


「今までお兄さまが何を隠して、何を思ってきたのか。聞かせてくれませんか?」

「……お前にはツライかもしれないが」

「構いません、覚悟は出来てます」


ぎゅっと、震える手を、もう片方の手で握る。

だって私「お父様に売られた」んだよ?

これ以上に悲しいことって、きっとないはずだから。


……と。


そうは思っても、やっぱり聞くのが怖いのか。

思わずギュッと目を瞑ってしまう。


すると凌生くんが抱き上げたままの状態で、すりっと頬を寄せてくれた。