キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「なんだよ相変わらずノリ悪い奴らだなぁ。いいよ、こうなったら第一号は俺が、」

「夏屋」

「わあ⁉」


私に覆いかぶさろうとした夏屋さん。

それを止めたのは春宮さんだった。


「祭り好きなお前にしては、下品な歓迎会だな」

「序列通り、この子を上品に迎え入れる筋合いはないでしょー? ここは治外法権のB地区なんだから」

「にしても、だ。これからコイツに話がある。後にしろ」

「……はぁ。わかったよ」


夏屋さんはベッドから離れドアへ向かう。

そして「抜け駆けしないでよ?」と春宮さんに念押しして部屋を出た。


パタンッ


「あの……助けていただき、ありがとうございましたっ」

「……助ける?」

「え、」


違うの?と顔を上げると、春宮さんが怪しく笑っている。


「この状況を助かったと思ってるなら、かなりのお気楽脳だな」