キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ



「あんたが呼びかけたら、覇鐘の気が散るから静かにしてて」


振り向くと、なんと怜くんの姿。

こんな状況だというのに、いつもと変わらない淡々とした口調で話している。


「れ、怜く、」

「俺は警察でもなんでもないんだけど……はぁ。でも珍しく覇鐘が俺を頼ってくれたから、やるだけのことはやるよ」


少しだけ口角を上げた怜さんは、ヒュッとナイフを出したかと思うと、男二人のうち一人に切りかかる。

お兄さまは怜くんの姿をチラリと確認した後。

攻撃をかわしながら呟いた。


「怜、お前一人なのか。相変わらず友達がいないんだな」

「……その言葉、覇鐘にだけは言われたくないよ」


キンッ


ナイフ同士が弾けた瞬間、両者が間合いを取る。

体勢を整える間、お兄さまと怜くんは話を続けた。


「応戦してもらいたくてお前を呼んだわけではない――妹を連れ出せるか」

「もうボロボロじゃん。すごい血が出てるけど?」