キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「お前は、いつまで経ってもうっとうしいな」

「え、うっとうしい……?」


今、うっとうしいって言った?

この状況で、私に「うっとうしい」!?


「お前がいなければ勝てそうだが、お前がいるせいでボロ負けしそうだ。実にうっとうしい。だから早く出て行け」

「……」


今までの私だったら「分かりました」って、そそくさとお兄さまのそばから離れてる。

だけど……。

本当のお兄さまを知った、今の私なら――


「うっとうしいは嘘ですね? 自分が囮になって、その隙に私を逃がそうとしてる。

うっとうしいは私を突き放すためだけの言葉で、お兄さまの本心ではありません」


ニッ


「お兄さまの考えてること、少しずつ分かるようになってきましたっ」

「……はぁ」


するとお兄さまは、私の前に立ちはだかり男二人と対峙する。

そして戦闘が始まる前に、私に背中を向けたままポツリと零した。


「お前がそんな風に笑うなんて……強くなったな」