キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「毒もそうだろ。せっかく刺客に毒を渡したのに、あらかじめ解毒薬を入手した兄貴がB地区の奴らに渡してやがった。親父とは違って、随分と用意周到な奴だよ、本当」


「!」


え、ちょっと待って……。

話に全然ついていけない。

だって、今の話だと、お兄さまは――


「ずっと私を守ってくれていたって事……?」


そんな素振り全然なかったし、むしろキツイ態度ばかりで……。

怖いお兄さまが苦手だったし、ずっと嫌いだった。

どうして私に辛くあたるのって、幼い頃から思ってた。


だけど、お兄さまのしてきた事は……


「全部ぜんぶ、私のため?」


パタッ、と涙がこぼれたところで。

「まぁ与太話はこれくらいにして」と、男の一人がナイフを取り出す。


「本当は銃で楽にさせてあげたいんだけど、親父が〝銃痕から俺らの存在がバレたら面倒だ〟とかなんとか言ってさ。だから古典的だけどナイフを使わさせてもらう。痛いけど我慢しろよ?」