キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「帰ります」って伝えたくて、自分の部屋を何度も指す。

するとお兄さまは私の手を離してくれた。

強く握られすぎて、手がピリピリする……。


「静かに自分の部屋に帰れ。それくらいの事なら、その足りない頭でも出来るだろ」

「……っ」


そんな言い方って……と思ったけど、いま反抗するととんでもない事になりそうだから黙っておく。

すると、なんとなんと。

私が部屋に入るまで、お兄さまによる私の監視は続いた。

背中に突き刺さる視線が、とんでもなく痛い……。


無意識のうちに止めてしまった息を吐き出せたのは、完全に自分の部屋に入ってからだった。


パタン


「はぁ〜っ、緊張した」


外は真っ暗。

廊下だって、ほの暗い灯しか付いてない。

それなのに、なんでお兄さまは私が廊下を歩いているのが分かったんだろう。

それに、なんかピリピリしていたっていうか……。


「お兄さまって、寝る前もピリピリしてるんだ……」


せめて寝る前くらいは穏やかだったらいいのに――なんて、ちょっと毒づいたところで。

時計の針を確認する。