「こんな夜中に呼び出すなって思われないかな……。いや、そういう事を考えるのはやめよう」
ぱんぱんと頬を叩いて、弱気な自分を追い出す。
自分で自分を弱くしちゃダメ。しっかりしなきゃ。
コンコン
「はい、出ます」
夜の間は声が響かないよう、最小限の発言しか認められていない使用人さん。
今もしかりで、ノックのみ。
ガチャ
ドアを開けると、使用人さんがお盆の上にコップを乗せて立っていた。
「ありがとうございます」
小さな声でお礼を言うと、使用人さんは会釈をして帰っていく。
こんな夜中にお水一つで……ありがたいなぁ。
音が響かないように、そろりそろりとドアを閉める。
いや、閉めようとした。
だけど廊下を少し進んだ先の部屋から、明かりが漏れていることに気づいた。
「あの部屋は……何も使われていない、ただの空き部屋だよね?」
誰か居るのかな?
もしかして使用人さんが出られなくなったけど、夜中だから声を出すのを我慢してる……とか?
「もしそうだったら大変だよ……っ」



