「全部ぜんぶ、初めてだ」
お父さまと話しをしたのも。
一緒に食事をしたのも。
そして……
私に直接手をだしたのも、初めて。
「……」
まって。私は……
何か勘違いをしているんじゃないの?
さっきのお父さまの感じだと、とても私を歓迎してるだとか心配してるだとか。そんな風に見えなかった。
むしろ、前よりも私のことを――
「……あぁ、そうだ。お兄さまに謝らないと」
水をかけてしまってごめんなさいって。
それから……。
「タオルも持っていこうか。あ、でもわざわざ私が渡さなくても、もう使用人さんが渡してるか」
ハハハ、と乾いた笑いが出る。
なんだか涙も溢れそうになって……ダメダメ。
グッと上を向いて、涙が流れるのを耐えた。
いくらお父さまに「嫌われている」と確信したからって。
いくら期待を裏切られたからって。
もう泣かないって、そう決めたんだから――



