キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「……あ、」


スープをお皿に注ぎ口に運んでいる時。

いつもとは違うスープ量を見誤り、思わずテーブルにポタリと零してしまう。


「未夢様、すぐ拭きますのでしばらくお待ちを」

「ご、ごめんなさい……」


と使用人さんに謝った、

その瞬間だった。


バシャッ


「……え?」


突如、目の前が真っ暗になる。

だけど真っ暗になる直前、ちらりと見えたのは―――


怖い顔で、私にコップの水をかけるお父様の姿。

そして水がかかる直前、私の前に姿を現したお兄さま。


「……お兄、さま?」

「……」


運悪く来てしまったお兄さまに水がかかってしまうなんて……。

絶対に怒られる、絶対に怒鳴られて……今度こそ殴られるかもしれないッ。


「~っ」

「おい」

「は、はい……っ」


お兄さまは一言だけ発した。

だけど、それは私に言ったわけではないらしい。

近くに控えていた使用人さんに「俺の食事に水がかかった。下げろ。新しいご飯は俺の部屋に運べ」と、すぐ食堂から姿を消した。