キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「あ、ごめんなさい。すぐに行きます」


すると使用人さんは「かしこまりました」と去って行った。

きっと使用人さん達もビックリしてるだろうなぁ……。

まさかお父さまが書斎から出て食事をとられるなんて。


「よし、急がなきゃ」


制服ではいけないので、慌てて着替えようとしたけど……制服以外の服を持っていないことに気付く。

凌生くんに買って貰った服……B地区に置いたままだった。手元になくて寂しいな。


「もっと着ておきたかった……」


どこか出かける用事がなくても、部屋にいる時も着るべきだったな――なんて。

後から後から「たられば」が湧いて出てくる。


今ごろ凌生くんはどうしてるだろう。


もうB地区に踊ってるよね。

頬の傷は大丈夫なのかな?

痕が残らなかったらいいけど……。


「……あ、いけない。早く行かなくっちゃ」


お父さまも来るんだったと。いわゆる食堂へ急ぐ。