キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


うーん、と悩みながら自分の部屋へ行く。

すると私のスマホが、キレイに机に並べられていた。


久しぶりのスマホに触る。

何か通知がないかな?と思ったけど……。


「麻琴ちゃんにはスマホは壊れてるって言ってある……だからと言って、何の通知もないなんて」


逆にすごいんじゃ……?と。

自分で自分を哀れに思い、充電を開始する。

やることもないし、課題をしようかな。

学校帰りに総季家に来たから、鞄とか一式揃ってるし。


「でも、全部二個ずつになっちゃったな」


私が元々持っていた学校セットと。

凌生くんが私のためにと揃えてくれた学校セット。

二つある内のどちらを使うかなんて……そんなの決まってるよね。


「凌生くんが買ってくれた方を使おう」


凌生くんの顔を思い出して、ふふと笑みが浮かぶ。

離れ離れになって寂しい。

だけど……きっと私は嬉しいんだ。


ずっと今まで私を守ってくれた凌生くんを、今度は私が守るんだって。

メソメソ立ち止まってはいられない。