キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「だから、あの子が自分で総季家を変えないといけないって何度も、」

「だとしても、だ。多少の手助けは必要だろ? それに自分一人で総季家を変えることが出来るなら、もうとっくに変えてる。不可能だったから家出までしたんだ」

「そうだけど……」

「小さな頃、俺たちが一方的に切った縁を、未夢が繋いでくれたんだ。そんな未夢に、昔のように手を差し伸べてやりたいって思うのは俺だけかよ?

梗一もさっき言ったよな?〝力を合わせればそれなりに強い〟って」

「確かに、言いましたね」


言いながらニヤリと笑う梗一を見て「いつも冷静な梗一がこのザマでは」と、怜は観念したようだった。


「……はぁ。知らないからね」


プイとそっぽを向くも全否定しないという事は……きっと賛同してくれたんだろう。

そして雷斗と梗一は真っすぐ俺見て、頷いた。


今、俺たちの頭の中にあるのは「未夢を助けて奪還すること」――それだけだ。