キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「……そう」


私が「B地区に帰りたい」と言ったら、そのわがままで凌生くんがもっとひどい目に遭う。

お兄さまは何をするか分からない、怖い人だもん。


「私の大切な人が傷つくのは嫌です……っ」


凌生くんを、お兄さまの好きなようにはさせない。

お兄さまは、しょせん楽しんでいるだけ。

総季の名前にあぐらをかいて、手のひらで面白おかしく私たちを揺さぶっているだけ。

そんな人に、凌生くんを好き勝手させない。


私の好きな人は――――私が守る。


「だ、そうだよ。どうする春宮?」

「……え?」


急いで後ろを振り向く。

すると赤いピアスを揺らした凌生くんが、片方の頬を赤く染めて私を見ていた。