ありがとう、ありがとう凌生くん。
でもね、
「私だって嫌です……っ」
凌生くんがお兄さまの言いなりになっていることが。
私のせいで凌生くんに迷惑がかかっていることが。
「凌生くん……っ」
だけど、泣く私に怜くんが淡々と言い放つ。
「聞くんだけど……あんたはB地区に残りたい?」
「え?」
「覇鐘は〝今すぐあんたを連れてこい〟って言ったよね。あんたはどうする?
このタクシーに乗って一緒にB地区に帰る? それともココに残る?」
「わ、私は……」
「……!」
言い淀んでいると突然、怜くんの体がビクリと跳ねる。
何かに驚いたようだったけど……私はそれどころじゃなくて、頭の中で考えを巡らせる。
そして、もう一度さっきのアトリエでの光景を思い出した後。
冷静に、答えを出した。
「お兄さまに逆らった凌生くんが、次に何をされるか分からないのに……私がB地区に帰るわけにはいきません。
怜くんと一緒にタクシーに乗るのは……凌生くんです」



