キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「……すみませんでした、覇鐘様」



まるで忠誠を誓うように、片膝を立て頭を下げる人物。

先ほどの大きな音は殴られたからなのか、片方の頬が赤く腫れている。



「いま以上に妹をひどい目にあわせたくなければ――分かっているな?」

「……」



殴られた頬に負けない、赤色のピアス。

そのピアスが音もなく、暗闇の中で静かに揺れた。


「そ、んな……」



――未夢、笑って



夢の中のあなたは、あんなにも笑っていたのに。

今、目の前にいるあなたは――


「これ以上に妹へ手をかすな。街中をくまなく探すも見つからないという事は、総季の手が及ばないB地区に逃げ込んだに決まっている。だが残念だったな。いくらお前らが妹を囲おうと無意味だ。

もう一度いう。

今すぐ妹を連れてこい。分かったな」

「……」

「返事は」


大きな椅子に座り、ふんぞり返るお兄さま。

下を見る顔は怖いくらい無表情で、恐怖で足が震えるほど。