キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「中をのぞいて」

「す、すみません。背が足りなくて……」

「……」


怜くんが片膝を立てて座る。

「悪いです」と両手を振ると、怖い顔で睨まれた。

早く乗れって事なんだろうな……。


失礼します、と心の中で謝り、怜くんの太ももに足を乗せる。

意を決して覗く……けど、中に人はいない。


あれ?

てっきりお兄さまがいるかと思ったけど。


「怜くん、」


誰もいないですよ――と言おうとした、

その時だった。



「飼い犬が手を噛むのか、この俺に」



冷淡に言い放つ、お兄さまの低い声――

その静かな怒声が、アトリエの中から聞こえた。