「あ、あの怜くん。どこへ行くの?」
「着けばわかるよ」
そして車に揺られること数十分。
到着した場所を見て、全身から血の気が引いた。
「な、んで、どうしてここに……っ」
窓の外に写る屋敷。
それは――総季家。
「か、帰らされるの? 私、この家に帰るの……っ?」
顔面蒼白になった私を見て、怜くんは表情を変えず「静かに」と私の口を塞いだ。
「なにもあんたを返しにきたわけじゃない。見せたいものがあって来ただけ」
「……?」
見せたいもの?
それって何?
静かにタクシーを降り、家の周りを歩く。
だけど家の中に入るのではなく、庭にある小さなアトリエへ移動した。
ここは確か――お兄さまお気に入りの場所。
屋敷にいない時、いつもお兄さまはここにいた。
中で何をしているか見たことはないけども。
そしてアトリエにある唯一の窓、その下へやってきた時。
怜くんが人差し指で、窓を指さす。



