キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「じゃあ、どうして怒ってるんですか?」

「……」

「凌生くん?」


むすっとした顔は、まるで拗ねてるみたい。

でも拗ねるって……何に?


「未夢も想像してみろよ」

「想像?」

「俺の隣に、自分じゃない違う女が寝ていた時の想像」

「凌生くんの隣に……」


違う女……。

ぽわん、と頭の中でイメージする。

私、凌生くん、そして他の女の人が一つのベッドで寝ているところを――


「……なんか胸がザラザラして嫌です」

「な? 俺も未夢と一緒。だから俺に同じことされたくなかったら、未夢ももう少し警戒心強めろよ」

「は、はい……ん?」


ん?


――俺も未夢と一緒


ってどういう意味?

まさか凌生くん、私のこと……?


「……っ」


そう思うと顔が熱くなって、肌色が再び赤く染まる。

こんな顔を見られたら、からかわれちゃうっ。


急いで凌生くんに背中を向けた。


だけど、その時。

凌生くんが何かを呟く。


「頼むぞ未夢。次は守ってやれるか、分からないんだからな」