『仕方ないなぁ――

おいで。僕が助けてあげる』

『わたしを、たすける……?』


にわかに信じがたかった言葉を、何度か復唱した後。


『うれしい……っ』


止まっていたはずの涙が、歯止めを失ったように滝のごとく流れ始めた。


『うわ、なんで泣くの』

『だって、だって……っ』

『分かったから、もう泣き止みなよ』

『うん……っ』


ぎゅっ


その時、控えめに握っていた俺の手を、力強く握り返す女の子。

その震える手を見て分かった。

今この子には、俺以外、誰も味方がいないのだと――


『きみ名前は?』

『みゆ』

『じゃあみゆ、明日もここに来るから。また会おうね』

『うんっ!』


そうして未夢の兄・覇鐘の目をだまして秘密に会っている内に、あの三人に見つかった。