キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「家の落ち目を悟っているのに〝見てるだけ〟なんてさ。お気楽」

「え……」


怜くんの淡々とした声、色のない瞳。

それらの指す意味が分からなくて、ただ見つめ返すことしか出来ない。


「それって……」


と、ここまで言ったところで口を閉じる。


いけない。

私ったら、また聞こうとしてた。

さっき「一人で考えて」と言われたばかりなのに。


「……聞かないんだ。あんたの〝そういうところ〟嫌いじゃないよ」

「そういう、って……?」

「……そこは聞くんだ」

「ご、ごめんなさい」




その後。

自然と話題は別のことに移り、気まずい雰囲気もなく学校に到着する。


「放課後も迎えに来るから教室で待ってて。俺の姿が見えたら降りてね、分かった?」

「えっと、初めから私が校門で待っておけばいいのでは……?」


首を傾げた私に向かって、怜くんがため息をつく。

ばかりか「分かってないね」と呆れた眼差しを向けられた。