キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「じゃあ行こっか」

「はい、よろしくお願いします」


部屋に来てくれた怜くんと一緒に建物を出る。

そして改めてB地区を外から眺めた。

うん。やっぱり商店街みたい。


「あんたさ、この土地の所有者は誰だと思う?」


B地区を眺めていると、横から突然の質問。

怜くんの淡々とした声。

だけどちゃんと答えを求めている感じがして、必死に頭をフル回転させる。


「B地区の土地の所有者……」


この土地の所有者が総季なら、すぐにでもB地区を更地(さらち)にするだろう。

所有者が総季でなくても、総季がお金を出して「土地を譲れ」とゆするはずだ。そして土地が手に入った瞬間、やはり更地にするだろう。

だけどB地区は存在し続けている。潰されていない。

それは……なんで?