キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


バンッ


メールを確認した直後、凌生くんが私とドアの間に立つ。

開けようとしたドアを、すごい力で押し戻された。もうドアはピクリとも動かない。


「な、なんですか?」

「……」


ビックリした……。

一体なに?


凌生くんは、全く私を見ていない。

どうやら扉の向こう側へ、全神経を集中しているようだった。


……扉の向こうに何かいるの?


「あ、あの凌生くん……?」

「あ、悪い」


グシャと、乱暴に私の頭を撫でた凌生くん。

何も言わないまま奥の部屋へ行ってしまう。


「えと……?」


どうしていいか分からずにうろたえて居ると、スマホを持った凌生くんが部屋から顔だけ出した。


「ここに冬城が来るから一緒に学校へ行けよ。それまで部屋から出ないこと」

「え……」

「新しい制服とか鞄、教科書一式はもう揃えてあるから使って。

じゃ、いってらっしゃい」


その後すぐ「俺だ」と。

誰かと電話をしながら、凌生くんは部屋へ頭を引っ込めた。