キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「わ、わすれてください、凌生くん!」

「いーや覚えとく。未夢も覚えておけよ? 次はナイからな」

「私は、忘れようと思います……っ」


キリッとした顔で言うと、凌生くんは鳩が豆鉄砲を食ったような表情をした。

だけど「ぷはっ」と思い切り吹き出す。


「そうさせないためにココに痕をつけたから」

「痕?」

「鏡みるたび一人で悶えてろよ、人質ちゃん?」

「!」


人差し指で、自分の首をトントンと叩く凌生くん。

その時の顔が大人っぽくて……まるで凌生くんじゃないみたい。


すると私の心がここにあらずなのを悟ったらしい凌生くん。

「見えてるけど?」と、長い指を私の胸の間に置いた。