「仕方がない人ですね、未夢さんは」
「梗一くん……」
梗一くんはナイフを持ってるし、すぐ脅してくるし、物の言い方もどこか冷たい。
だけど根本的な優しさは昔と変わってないって、今ならよく分かる。
「さ、早く帰りますよ。未夢さんをこき使うと、私が誰かさんに怒られますからね」
「それって……」
と言いかけて、やめた。
梗一くんが連れて行ってくれる場所。
そこで待っている「誰かさん」が、きっと答えだと思うから。
「キョロキョロしないでくださいね。未夢さんがB地区で見たものが、トラウマになってはいけませんから」
「と、トラウマになるような物があるんですか……!? そう言えば、さっき拷問とかなんとか」
「それくらいで驚かないでくださいよ」
「それくらい、って……!」
梗一くんが冗談を言うとは思えなくて、どんどん顔が青くなる。
決めた……。
今から私、梗一くんの背中しか見ない。絶対によそ見しないッ。



