キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「だめ、梗一くん! キレイなハンカチが汚れちゃいますっ」

「拒否するなら、この指を私の口にくわえて止血しますが?」

「……このままでお願いします」


そんな言い方は卑怯だ――と思っていると、なぜか梗一くんがため息をついた。


「本当に未夢さんってよく分からないですね」

「え?」

「普通、じゃがいもの皮むきます?」

「梗一くんって、ポテトサラダに使うじゃがいもは皮つき派なんですか……?」


それって、すごく……じゃりじゃりしませんか?

と、いたって真面目に質問したのに、梗一くんからは氷点下の眼差し。

う、うわぁ……血だけじゃなくて、冷や汗も出て来そう。


「未夢さんがここまでする必要はない、という意味ですよ。B地区の人間は総季家に恨みをもっているわけで、あなたに償ってもらいたいわけじゃない。それにあなた自身も、総季家から虐げられている被害者の一人でしょう?」