キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「曲がりなりにもお嬢様がじゃがいもの皮むきなんて……屈辱でしょう? でもやるとは言ったのは未夢さんなので、最後まで、」

「はい! やります、やらせてくださいっ」

「……」


私に仕事ができた。

じゃがいもの皮むきをやってほしいって。

それはつまり、誰かに必要とされている、ということ。


「頑張ってむきますねっ」

「……その細い腕で何個むけるか。見物ですね」

「あ、見てください梗一くん! このじゃがいも、とっても大きいですよ!」

「……」


手あたり次第、じゃがいもを掴んでは皮をむぐ。

すると皮なしじゃがいもがボールに溜まってきた頃あいを見計らって、さっきのイレイズが取りに来てくれた。


「俺、持って行く」

「あ、ありがとうございますっ」

「お礼はこっち。ありがとう」

「……っ」


ありがとう――って。

誰かに言われたの、いつぶりだろう。