「……と、話し込んでる場合じゃありませんね。どうせ迷子でしょう? 春宮の部屋に送ってさしあげます」
「そ、その通り、どうせ迷子中です……」
梗一くんのため息と共に、降りて来た階段を上がる……いや。
上がろうとした。
だけど、やめた。
「あの梗一くん、一つお願いがあるのですが」
「なんですか?」
「私を一晩、この調理室で働かせてください」
「は?」
ピシッ
あぁ、梗一くんが岩のように固まっちゃった。
どうかナイフを出しませんように……っ。
「ここにいる人たちは、総季に追われた方たちですよね?」
「そうですが、なにか?」
「ここにいる人たちはイレイズに身を落とした罪を、ここで償っている。なら私も、総季家の娘であるにも関わらずお父さまたちの暴走を止められない罪を償いたいんです」



