「わ、忘れてください、梗一くん……っ」
ここが薄暗い場所で良かった。
完璧に明るかったら、恥ずかしくて顔を上げられない。
……と思っていたのに。
梗一は、半開きだったドアを全開にする。
すると中の光が一気に階段まで伸びてきて、私の真っ赤な顔を露わにした。
「ひゃぁ! あの私、今きっと見せられない顔で……っ」
「恥ずかしがる素振りイイですね。やまとなでしこみたいで素敵ですよ」
「……へ?」
やまとなでしこって、おしとやかな女性って意味だったっけ?
おしとやか?
……私が?
「梗一くんも冗談をいうんですね……」
「私はつまらない時間の使い方はしません」
「つまり、さっきのは冗談じゃないと……?」
「そうですが?」
「!」
天然?
梗一くん、あなた今すごく〝人質を褒めてる〟って気づいてますか……?
私の方が恥ずかしくなって口をパクパクさせていると、再びお腹の大合唱。
グルル――



