キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「そう言えば、総季家がイレイズを従えてるって、雷斗くんが言ってたっけ……っ」


雷斗くんは「可能性」の話をしていたけど、さっきのイレイズの言葉が何よりの証拠。


――お前のことは傷つけない。そう言われてる


総季家がイレイズに「私を連れ戻せ」と命令しているに違いない。

娘に危害を加えるわけにはいかないから「無傷」を条件に。


「も、戻らない。戻りたくない……っ」


あのお屋敷には、帰りたくない。

ここに、B地区に……。

凌生くんがいる場所にずっといたいのっ。


「あ、行き止まり……っ!」


走った先に道はなく、無念の行き止まり。

階段があるけど、下は真っ暗で良く見えない。

そう言えば、いつか梗一くんに言われたっけ。


――このB地区において、好奇心は身を亡ぼします。生かすも殺すも自分次第ですよ


「でも、今は……っ」


ここでモタモタしていたら、確実にイレイズに連れ去られる。

この先に何があるか分からないけど……背に腹は代えられない!