「でも、なんでキスするんだろう……」
やっぱり、ただの暇つぶし?
それとも――
「ってダメダメ。己惚れないって決めたでしょっ」
パンッと頬を叩く。
すると、曲がり角の向こうから足音が聞こえた。
あ、よかった!
やっと誰かと会えるっ。
「あの、もしよろしければ掃除道具を……」
小走りで、曲がり角を目指す。
だけど、そこにいたのは――――
「見つけた……」
「イ、」
イレイズ⁉
黒いマスク。右手のナイフ。
この場が似合わない人物、イレイズに違いない。
「や、こ……来ないで!」
「お前のことは傷つけない。そう言われてる」
「……え?」
「一緒に来てもらう」
「っ!」
やだ!
ヌッと伸びた手が怖くて、すぐに反対方向へ走り出す。
後ろを振り向くと、当然イレイズも追ってきていて……
なんで? なんで私⁉



