降ろしてくれると思ったのに、なぜか顔が近くなって行く。

 これ、ちょっとヤバいんんじゃ……。



「妻とのスキンシップは大切だしな」



 笑っているけど、私は全然笑えません!

 これ、キスされちゃう?

 私ファーストキスもまだなのに!?

 必死に逃げようと体を捻るも、ガッチリ掴まれていて動けない。

 けど、どんどん顔は近づいていく。



「本当にやめてください!」

「やめるわけないだろ」



 このままだとキスされちゃう!

 ファーストキスをこんな人に奪われるなんて絶対嫌!



ーーー パンッ ーーー



「いった……」



 彼の頬に、平手打ちをした。

 まさか私が平手打ちをすると思っていなかったのか、驚いていた。



「貴方バカなんですか!」



 大声で怒鳴る。



「私のこと、好きでもないのになんで平気でキスできるんですか!それに、私は貴方の妻にはなる気がないのに無理やり連れて行こうとして!」

「男なら、せめて私のことを堕としてからプリポーズしてください!」



 言いたいことを言い切ると、肩で息をした。

 この場にいる私以外の全員が、ポカンと口を開けている。