「なんの合格なんですか?」



 神社の審査員とかなんだろうか。

 いや、流石にこんなヤクザみたいな格好はないよね。



「お前ら、行くぞ」

「へい」



 無視された。

 すると他のスーツの1人が、私に近づいて米俵のように担いだのだ。



「え、ちょっと!?何するんですか!?」

「俺の話を聞いてなかったのか?お前を極道の妻にするんだよ」

「はいぃ!?」



 何言ってるの、この人。



「極道の妻ってなんですか!あれですか、ドッキリの番組か何かですか!?」

「元気が良くて、大変良いことだな。だが、ドッキリでも無いからな」



 鼻で笑われて、少しイラッと来た。

 ため息を吐きたいのは私の方なんですけどね!



「名前を知らない相手には着いて行けません!」

「俺の名前か?京極狼(きょうごくろう)だ。妻になるのだから、狼とでも呼べ」

「妻って。そんなものにはなれません!お引き取りください!」

「強情だな。神楽鈴(かぐらすず)は」



 私の名前を知ってる?

 神社に来ている人の顔はある程度覚えている。

 けど、この人は初めて見た。

 お父さんの名前はネットのサイトで神主という事で公開しているけど、私はしていない。

 なのになんで……。