「何があったんだろうねー、って話してたんだよー、なんか本人言いたがらなかったし」

「そう、なんだ…」

そりゃ言えないことしようとしてましたから言えないでしょうね……。

「あ、そういえばいい人はいた?」

そもそも合コンに参加したのは千紗の傷を癒すためだった、と思い出し結果を聞いてみる。
でも千紗は浮かない顔だ。

「うーん、今回は収穫なし、かなぁ」

「そっかそっか、千紗なら絶対いい出会いあるよ」

「そうかなぁ」

とりあえずいつもの調子に戻ってくれたみたいで一安心だ。

さっきなんか朝から焼きそばパン頬張ってたし、すっかり元通りの千紗で私も嬉しい。

「ねぇ、ちなみにさ葵くんはどうなの? なんもないの?」

‪”‬葵‪” というワードに肩が跳ねる。

「あ、葵…くん?」

「うん、結構仲良さげじゃん? 実は玲乃も葵くんにメロメロなんじゃなーい?」

「そん…っ、な訳!……ないでしょ!」

興味なさげを装い、そう返した私に千紗が椅子から立ち上がって目をまん丸にした。

「でも玲乃……、ぶっちゃけ好きになりかけてない?」

「え!?」

「だって今さ? ‪”‬そんな訳ないでしょ?‪”‬って上手く言えてなかったよ?」

うっ……。

やだな。

なんでこうも私はカモフラージュってもんが下手くそなんだ……。

「いやいや、ほんとに……、私は違うよ?」