いつの間にか授業が終わったらしく僕の机に来た涼太。

もうグラウンドには2年生の姿はなく、ガラン、と空いていた。

「授業中、ずーっと玲乃ちゃん目で追ってただろ、お前」

「いいだろ、別に」

なんだよ…監視してたのかよ。

「なんか葵顔赤くね?」

「うっせぇ!」

「もしかしてー、玲乃ちゃんのこと好きになった、とかー?」

……好きだと?

この僕が…?

女にうつつを抜かしてるのか?

この僕が…? ?

女にほだされてんのか?

この僕が…………???

「はは、んな訳ねぇかー、葵は昔っから誰にも本気になったことねぇもんなー」

あぁ、そうだ。

僕は女ごときに本気になるようなマヌケじゃない。

決して違う。

断固としてそれだけはない。

そんな可能性は地球が爆破するレベルでありえない。

そう。絶対にありえないことだ。

「え? 葵…マジ……?」

我に返れば、涼太が何も言わない…いうか言えない僕に酷く驚いたような眼差しを向けていた。

口もあんぐりと開いている。