一刻を争う事態かもしれない!と思い、慌ててトマトソースまみれとなった葵くんの服を1枚めくってみる。

だけど特に異常はなく、綺麗に割れた腹筋がそこにあるだけだった。

こうして見ると結構男前な気がする。

体細い癖に意外と筋肉あるんだ……。

「いっ、いつまで見てんだよ! 離れろ!」

しかしすぐに服はずり降ろされてしまい見納めとなった。

でも暑いとかじゃないなら一体……

「でもほんとに大丈夫!? だって葵くんなんか変だよ……っ」

葵くんの肩に掴みかかりながら尋ねるが本人は意味深に手の甲を口に当てていて、ぜんっぜんこっちを見てくれない。

ほんと……どう、したんだろ。

***

この日の夜。

布団に入ってからなかなか寝付けなかった。

まだ心臓がドクドクいってて、手が若干震える……。

もちろん動揺からくる ‪”‬ドクドク‪”‬ だ。

それにしても……、言っちゃった…。

好きだ、って……。

葵くんがただの承認欲求満たしバカってことは分かってる。

ーー僕、常に1番でないと気が済まないんです。先輩が僕のことを好きになってくれるまで僕はとことん続けますよ?