「子供の頃からほんの少し前までずっと、私は“不要”だから芙蓉なんだと信じてたから、まさかこんなに幸せになれるなんて思わなかった。これからは9月が特別な月になりそう。シンデレラストーリーなんて好きじゃなかったけど…幸せならそれでいいのかもね」
 弾けるような笑みで芙蓉が言う。
「慎ましい暮らしに、そこまで思ってくれるなんて、ふうちゃんは、やっぱり僕の理想の女性だよ」
 初恋の人と結婚した芙蓉は、これをシンデレラストーリーだと言ったが、ここで終わるほど、彼女の人生は甘くない。