「そんな淋しそうな顔してた?ごめんね。おめでたいことなのに」
「謝らなくていいよ。でも、どうしたの?」
(嗚呼…ふうちゃん。自分のことだけでも大変なのに、僕のことまで気遣ってくれて、やっぱりいい子だな。大人の僕がしっかりしなくてどうするんだ)
「いやいや…ほら、よく、親は子どもの成長を嬉しく思う反面、淋しくも思ったりするって言うじゃない?」
「えー…夕夜さんってば、私のこと娘みたいに思ってたの?」
 少しふくれる芙蓉に、
「違う違う!そんなわけないじゃん…」
 慌てて言うと、芙蓉は、
「冗談よ。こんなに若くて格好いい人がお父さんだったら、ちょっと問題アリだもん」
 そう言って、悪戯っ子のように笑った。
(情けないなぁ…。こっちはいい大人なのに、19の女の子に翻弄されてばっかりなんだから)
 芙蓉に気づかれぬよう、夕夜は小さく嘆息をもらした。