オリジナル短編小説「生命の記憶」

「生命-子-」

未だに憶えている。
僕が産まれた時の事。
看護師さんからお母さんに抱き渡された僕は、ほっぺたをフニフニと触られても、あくびをしても可愛い可愛いと言われた。
大人になっても可愛いと言われ続け、ついには、可愛いに慣れてしまった。

お母さん、
産んでくれてありがとう。
たくさん生きるね。


僕は遠い記憶と叶わなかった願いを思い出しながらそっとアルバムを閉じ、ふぅ~と息を吐いた。

叶うのなら一緒に生きたかったな。

お母さん、心配しないでね。
自分を責めないでね。
僕は、今、こっちでとっても幸せに暮らしてるし、僕が死んだのはお母さんのせいじゃないよ。

だから、心配しないで良いし、自分を責めないでね。
あと、お母さんがこっちに来た時は、こっちの世界の事、たくさん案内するね。

そして、、17年間、産んでくれて育ててくれてありがとうございました。
生まれ変わりがあるか分からないけどあるとしたら、お母さんと一緒に長生きしたいな。
僕はいつまでも空から見守ってるよ。
ずっと大好き。